


薄毛に悩んでいるけれど、誰にも相談できない。クリニックに行くのが恥ずかしい。種類がありすぎて何を選んだらよいか分からない等、様々な理由が原因で薄毛治療に一歩を踏み出せない方は大勢いらっしゃいます。
こちらの記事では、代表的な薄毛治療薬(パントガール、スピロノラクトン、ミノキシジル)の違いについて解説しています。
それぞれの特徴や効果、併用はできるのか?など、みなさんの悩みに答えながらご紹介していきますので、ご自身の症状と照らし合わせながら読んでみてください。
クリニックで処方される薄毛治療薬3選

薄毛治療で主に使われる薬には、パントガール、スピロノラクトン、ミノキシジルがあります。それぞれの特徴を解説していきます。
パントガール

「パントガール」は、髪のヘアサイクルを整えたり、細胞の循環を改善して、丈夫な髪を育てることを目的にしています。
スピロノラクトンのように脱毛因子の発生を抑制したり、ミノキシジルのように新たな発毛を促す作用はありません。
ダメージを受けた髪や頭皮を修復し、酸化ストレスから髪を守ります。血行を促進し、髪1本1本に栄養を届け、健康な髪と頭皮をつくります。いわゆる髪の栄養剤です。
パントガールは、アミノ酸やビタミン類など食品と同じ成分から成り立っているため、スピロノラクトンやミノキシジルとも併用できます。
スピロノラクトン
スピロノラクトンは、抜け毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)を強力に抑えて、脱毛因子が発生するのを抑制します。
ジヒドロテストステロン(DHT)が毛母細胞に付着して作用するのを防ぐことで、毛包(毛根を生成・保護する皮膚組織)の萎縮をカバーし、ヘアサイクルを整えて、ハリとコシのある健康な毛髪を作ります。
治療では、主に内服薬(タブレット)として処方されます。
また、ナトリウムとカリウムのバランスを調節し、高血圧やむくみの症状を改善する効果も期待できます。
主にミノキシジルと併用して使用されます。
ミノキシジル
ミノキシジルは、頭部の特定の部位での脱毛治療に効果があるため、AGA(男性型脱毛症)で悩まれる方におすすめです。
血管を拡張し、血流を増加させるため、毛根部まで栄養素が浸透しやすく、髪の発毛を促進し、薄毛や抜け毛を改善する効果が期待できます。
大正製薬の臨床試験では、24週間の投与で80%以上の方が脱毛改善を実感したというデータもあります。
主にリキッド(液体)タイプで頭皮に塗布して使用します。
ミノキシジルは、FDA(アメリカ食品医薬品局)に認可された発毛薬品で、FDAから認証を受けることは、薬機法や食品衛生法に違反しておらず、適正な商品であることを意味しています。
主に、スピロノラクトンと併用して使用されます。
どんな人に向いている?

パントガールは、これから薄毛や白髪の予防をしたい人、少しボリュームダウンやハリ・ツヤが気になってきた方(びまん性脱毛症)におすすめです。
ミノキシジルやスピロノラクトンは、薄毛がだいぶ進行し、パントガールやその他育毛サプリメントでは効果がみられない方(AGA、FAGA)、発毛に重点を置きたい方に向いています。
脱毛症のメカニズムは?

男性と女性では、そもそも薄毛になる部分や原因が異なります。
男性型脱毛症は「AGA(Androgenetic Alopecia)」、女性型は「びまん性脱毛症」あるいは「FAGA(Female AGA)」と呼ばれます。
AGA・FAGAでは、生え際や頭頂部といった特定の箇所の薄毛が一般的ですが、びまん性脱毛症は、全体的に抜け毛が増え、髪のボリュームが失われていく状態をいいます。
それぞれのメカニズムを見ていきましょう。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症は、男性の特定箇所の薄毛と異なり、全体的に髪のハリやコシが失われ、ボリュームが失われていき、髪の毛が抜け落ちていく症状のことをいいます。
原因としては、ストレス、栄養不足、ホルモンバランスの変化、疾患や特定の薬剤の副作用などが関係している可能性があります。

AGA

AGAは遺伝的素因が関係しています。親がAGAの傾向を持っていると、その子どももAGAになる可能性が高いです。
AGAは、男性ホルモンであるテストステロンが5α-リダクターゼによってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることに関連しています。
DHTが毛母細胞にある受容体と結合すると、脱毛因子が発生し、髪の毛のボリュームダウンやヘアサイクルの乱れを引き起こし、毛が抜け落ちて薄毛の原因になります。

FAGA
加齢と共に女性ホルモンが減少すると、女性でも少なからず男性ホルモンを持っているため、男性ホルモンが変換されたDHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受けることがあります。
DHTは脱毛因子を生成するため、男性型脱毛症AGAと同様に、生え際や頭頂部の薄毛が進行する原因になります。
こちらの記事から引用しました。詳細は以下から読んでみてください↓
副作用は大丈夫?併用はできるの?

パントガールに関しては、アミノ酸やビタミン類などの食品と同じ成分を使用しているため、副作用はほとんど起きないと考えてよいでしょう。他の薬剤との併用も可能です。
ミノキシジルとスピロノラクトンに関する副作用と併用注意点は以下のとおりです。
ミノキシジルの副作用と併用禁忌
<副作用>
かゆみ、頭皮のかぶれ、局所的な皮膚の乾燥、心拍数の増加、動悸、息切れ、体重増加、体毛の増加、初期脱毛、肝機能障害、赤ら顔、むくみ、立ちくらみ、心疾患
<併用禁忌>
降圧剤、痛み止め、風邪薬、頭痛薬
※ミノキシジルは、全身の血管を拡張させるため、高血圧の方、心血管系の疾患を抱えている方、妊娠・授乳中の方は服用を避けた方がよいでしょう。また、薬剤過敏症やアレルギーをお持ちの方、皮膚に炎症がある方もご遠慮ください。
スピロノラクトンの副作用と併用注意点
<副作用>
むくみ、頭痛、めまい、胸部の圧迫感、乳房の腫れ、腹痛、吐き気・嘔吐、下痢、便秘、疲労感、倦怠感、生理周期の変化、男女共に性機能の低下、インスリン抵抗性の増加(糖尿病のリスクの増大)、血清カリウム値の上昇(高カリウム血症のリスクの増大)
<併用禁忌>
カリウム補給剤、またはカリウムを多く含む食品やサプリメント、降圧剤(ACE阻害薬またはARB)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、リチウム、抗凝固薬(ワルファリンなど)
※スピロノラクトンは一般的に安全な薬物ですが、妊娠中または授乳中の女性は避けたほうがよいでしょう。特定の疾患をお持ちの方(高カリウム血症、腎機能の低下)や、薬剤過敏症・アレルギー反応の既往がある方も、安全のため使用は控えましょう。
ミノキシジルの処方薬と市販薬の違いは?

ミノキシジルは、処方箋が必要なものと市販で入手可能なものとがあります。それぞれの違いをみていきましょう。
処方箋が必要なミノキシジル | 市販されているミノキシジル |
高濃度(5%)のミノキシジル製剤です。医師の処方箋が必要です。 | ミノキシジル濃度が2%程度のものになります。一般の薬局やネット通販で購入できます。 |
対象:重度の脱毛症の治療をしたい方向け | 対象:初期の脱毛症の治療や予防をしたい方向け |
まとめ
今回は、代表的な薄毛治療薬(パントガール、スピロノラクトン、ミノキシジル)の違いについて解説しました。
それぞれに特徴があるため、ご自身の症状に合わせて適切な薬を選択してください。
パントガールや低濃度のミノキシジルは、Qoo10やYahoo!ショッピング、その他ネット通販でも購入できますが、スピロノラクトンは市販では取り扱っていません。
スピロノラクトンや高濃度ミノキシジルを使用したい場合は、クリニックで相談してみましょう。